そもそも我慢とは?
カウンセリングでお客様のお話を聞かせていただくとき、「だいぶ我慢されていませんか?」とお伺いすることが度々あります。
我慢というのは、「耐え忍ぶこと」という意味ですが、日常的には「自分を律する」という意味合いで使われることもあります。
時によっては「困難に耐える美徳」のように良い意味で使われることもあったり。(以前、日本で大災害があった時、海外のメディアではGAMANが日本人の美徳として伝えられたようです)
何をもって我慢というかは人それぞれかもしれませんが、個人的には、我慢って「愛」と紙一重だな…とも感じています。多くの方の我慢の奥には、誰かを愛したい、何かを守りたい、そんな思いがあることも多いのです。
なぜ人は我慢をするのでしょうか
人が我慢をする理由、それは我慢することに何かしらメリットがあるからなんです。
我慢するということは、自分の気持ちを横に置いて他の何かを優先すること。
例えば、
本当は休みたいけれど、仕事に行くことを優先する
本当はもっと彼に会いたいけれど、彼の自由な時間を優先する
本当は自分の時間が欲しいけど、家事や育児を優先する……
このように自分の気持ちを横に置くことで、自分の信用、誰かとの関係性、大切な人の快適さ…など何かを守れるというメリットを感じられるわけです。
*
小さな頃、親に褒められるため・怒られないために何かを我慢した、という経験はありませんか?
何かを得るために我慢をするという方法を、多くの人は子どもの頃に学習するといわれています。
多くの子どもが小さな時に欲しかったものは親からの愛や優しさです。
本当は、我慢なんてしなくても愛されてるのですが、しつけが始まった時からの色々な経験が「我慢しないと愛されない」という、強〜い観念(=思い込み)になって残ることも少なくないんですね。
そのような観念があまりに強い場合、極端な我慢が人と関わる処世術になったり、「我慢しないと認められない、受け入れられない」という自分自身への制限や恐れに変わることがあります。
それが、対人関係を築く際の生きづらさに繋がるのです。
さらに大人になってからも、我慢でコトかがうまく進んだり誰かとの関係を壊さずにすんだ、という実績ができると「ほら、やっぱり我慢しないとうまくいかないよね」と、思い込みが強化されたりもします。
我慢を続けると起こりやすい困りごと
我慢をするのは何かメリットを感じるからですが、そのやり方を続けることは私たちに色々な問題をつくり出すことがあります。
我慢で押し込めた感情はなくなるわけではないので、心に蓄積されて別の形で現れたりもするんですね。
たとえば、こんな問題としてあらわれます。
・周りにも「このくらいできるでしょ」と同じ我慢を求めてしまう
・何も我慢していない気楽な人を見るとイライラする
・気持ちを許した人にだけ、一点集中で依存的になってしまう
・相手が「自分を我慢させる人」に思えてきて、離れたくなる
・誰にも理解されないような大きな孤独感が生まれる
・周りを優先しすぎて、自分の本当の気持ちがわからなくなる
我慢をして心を抑えつけている時、その反動で強いニーズを生み出してしまうことも多くあります。
ニーズというのは「人にこうして欲しい」という欲求です。
「こんなに我慢してるんだから認めてよ、助けてよ」そんな気持ちが大きくなって、周りの人(特に心を許せる近しい人)に不満を持ちやすくなってしまうということは、我慢の大きなデメリットかもしれません。
また「我慢した自分しか受け入れられない」という強い観念を持っているとき、周りを「信用できない人」と扱い、心理的な壁を自分から作っていることもあります。
そして何より、気持ちを抑圧するということは幸せや嬉しさ、楽しさなども一緒に抑圧して感じにくくなってしまうんです。
我慢に何かしらのメリットがあっても心に負荷をかけている以上、続ければ色々な問題が起こります。
我慢って本人が苦しい以外にもデメリットが多いのです。
我慢を卒業する3ステップ
では、どうすれば我慢することを手放せるのでしょうか。
今、何かを守るための方法として我慢をしているとするならば。
我慢をやめるには、それを別の方法で手に入れられる自分になることが鍵になります。
(我慢で溜まったニーズを人に向けて発散する、というのは我慢を卒業することではありません)
そこで、こんなステップをおすすめしたいと思います。
我慢することで何を守りたいの?と聞いてみる
まず、こんなふうに考えてみていただけないでしょうか。
例えば。
あなたが今、何か我慢をしているとしたら、その我慢によって守りたいものは何ですか?
誰かとの関係性、社会的な信用、もしかしたら自分の価値を感じてもらうことかもしれません。
そこで、さらに聞いてみてあげて欲しいのです。
「この我慢は、自分を本当に幸せにしてくれる?」
「本当に、こんなに我慢しないと守れないもの?」と。
確かに我慢を続けることで、守れるものはあるのでしょう。
ですが本当に心が求めているのは、我慢しなくても何かを守ること・手に入れることではないでしょうか。
今まで我慢して頑張ってきたんだね、と優しく労う
「本当は我慢なんてしたくないけど、我慢しないと守れないでしょ」
そんなふうに、歯を食いしばって何かを守っている人も多いのではないでしょうか。
まずは「そこまで守りたいと思っていたんだね、大切にしたくて頑張ってきたね」って、自分自身に何度も声をかけて、労ってあげてほしいなって思います。
我慢をしてる自分に対して「こんな自分じゃダメだ」って追い込むことはしないでくださいね。
たくさん我慢をしてきた人は、自分をグッと抑えてまで誰かを・何かを守ってきた強い人です。
今までの頑張りを存分に労い讃えてから、次のステップに進んでくださいね。
我慢ではない「みんなの幸せ」を探す
ここからは、自分を抑えることに使っていたエネルギーをどう調和に生かすか、です。
お互いの・みんなのより良い形を見つけるということに意識を向けてみてほしいのですね。
当然、その中にはあなたも入ります。
自分の意見や望みを伝えることは我儘ではありません。
ただ、相手にも自分にも選択肢があるということが大切です。
お互いの要望を伝えてお互いの良い形を見つけるというのは、大人の成熟したコミュニケーションでもあります。
とはいえ、自分の気持ちを伝えることに怖さを感じることもあるかと思います。
ときには相手のリアクションで傷つくことがあるかもしれません。
頑張ったけど、どうにも自分が我慢することでしか成り立たない……。
そんなときには、自分を大切にするために関係性の見直しが必要なのかもしれません。
すべてがうまくいくわけではないですが、あなたの犠牲で成り立つ関係性が人を本当に幸せにすることはないと、私は思っているんですね。
あなたの大切な人ならば、(どんな人間関係でも)お互いにとって必要な相手ならば、相手も必ずあなたを大切に思っています。
周りの誰かの「あなたを大切に思う気持ち」を受け取ることも、みんなの幸せに向かうための大切な要素です。
カウンセリングではこのようなプロセスに伴走させていただき、我慢を手放すお手伝いもさせていただいておりますよ。
最後に:我慢を手放した先に見える世界
私自身もたくさんたくさん我慢をして、その反動で生まれる困った感情にも散々振り回されてきました。
我慢をしている時はどうしても、自分だけが辛いと感じてしまいがちです。
「どうせ誰もわからないでしょ」と自ら周りの人に心の壁を作り自分に向けられている愛をたくさんスルーしてきました。
けれど私が少しだけ周りを信用し、自分の気持ちを伝えたり頼ったりできるようになった時。
「私を我慢させる人たち、私を我慢させる世界」が「私を助けてくれる人、私を助けてくれる優しい世界」にひっくり返った感覚がありました。
我慢をしがちな人は本来、人を尊重できたり和ませたり、調和をもたらす才能に長けていることも多いのです。
しんどい我慢を手放したあなたがあなたらしく、たくさんの人に優しい気持ちで関われますように。
最後までお読みいただきありがとうございました。
こちらの記事ぜひご覧くださいね↓
自分ばかり損してる?と感じやすい人へ
◉カウンセリングを利用する
✴︎自分軸の幸せに向かう提案型カウンセリング✴︎
泉智子のカウンセリングご予約↓
06-6190-5131
(カウンセリングサービス:予約センター)
あなたのお悩み、ぜひ一緒に取り組ませてくださいね。
カウンセリングやご予約についての詳細はこちら