正しさを大事にしすぎると、しんどくなります

心を緩める心理学

社会の中で生きていると、これは正しい・これは間違ってる…そんなジャッジや判断をすることは多いと思います。けれど心や感情に関しては「正しさ」を大事にし過ぎると、「苦しさ」に繋がることがあるんです。

そもそも正しいことって?

唐突ですが、世の中に確実に正しいことってどのくらいあるでしょうか。

1+1=2→正しい
ものを買うにはお金が必要→だいたい正しい
会社に遅刻してはいけない→正しいけど例外もある
家族は仲良くするべき→そうできたらいいけど事情による
夫婦は秘密を持ってはいけない→正しい……?

こんなふうに検証してみると、誰がどう見ても100%正しいことって実はそこまで多くないのではないのかもしれません。
例えば法律も「こうしたらみんなが規律を守って心地よく暮らせるよね」という取り決めをすることで秩序を保つためのもの。

もちろん、たくさんの人がともに生活するには、ある程度「だいたいこれが正しいよね」という共通認識はあった方が便利です。
けれどその正しさを、感情や対人関係に持ち込みすぎると問題や周りとの分離を生んでしまうのです。

心の分野に「正しさ」は存在しない

カウンセリングのなかで「こう思うのはいいんでしょうか」「こう感じるのは正しいのでしょうか」というお話を伺うことがあります。
自身の心の立ち位置や感覚に自信が持てなくて、不安になってしまうときってありますよね…。

ただ、私がお伝えするのは「感情には、良いも悪いも正しいも間違いもないんですよ」ということなんです。

感情って自然に湧いてくるものです。思考は頭である程度コントロールできますが、感情そのものをコントロールするのは不可能に近いのではないでしょうか。

例えば「怒り」と感じたとき。
その感情を「怒るのは良くない!」と思考して外に出さなかったり「もっと楽しいことを考えよう」と意識を切り替えられても、生まれた怒りそのものを感じないようにコントロールすることはできないんですね。
(心を癒し整えることで、怒りが湧きづらい状態になることは可能です)

怒るのは良くないと思ってもイライラするし、悲しむ必要はないと思っても悲しいし、傷つくなんて変だと思っても傷つきます。

ですから心の分野に正しさを持ち込むと、どうにもできないことをジャッジしたり否定することにつながるんです。自分ではどうにもできないことを自分が否定するって、だいぶしんどいと思うのですよね…。

悲しいとかつらいと感じるだけもきついのに、さらに「こんな感情を感じる自分は良くない、弱いんだ」などど否定したら、傷に塩…くらい自分を痛めてしまうのではないでしょうか。

心の分野には正しさはない、どんな感情にも良い悪いも存在しない。
ぜひ、そう捉えていただけたらなって思います。

対人関係に正しさを持ち込むと起こること

人間関係も、この正しさ持ち込むことで苦しさが生まれるケースが多くあります。
とくにパートナーや家族など心の距離の近い関係で、それは起こりがちです。

正しさのぶつかり合い

心の距離の近い人には、もれなく「癒着感情」を持ちやすい傾向があります。
癒着感情とは、相手との境界線が適切に保てなくなる感情なんですね。

例えば「親なんだから」「夫・妻なんだから」という意識から、相手は自分のために動いてくれる、同じ価値観や感覚を持ってくれるはずだ、と感じてしまうのです。
そのような相手との関係性で、正しさにこだわると何が起きるでしょうか。

自分が正しいと感じることは相手もそう思ってくれるはず。
自分の正しいことを通したい。同じように思わない相手は間違っている。

もし、お互いにそう思って関わったとすると、当然ケンカになります^^;

「どうしてわかってくれないの、こんなことは当然でしょ」
2人が違う主張を通そうとする「正しさのぶつかり合い」が起きてしまうのですね。

このようなぶつかり合いをしないために大切なことは、「何が正しいか」よりも「何が幸せか」という視点です。

自分が持つ正しさを変えるのはとっても難しく、ときには嫌な感情を伴います。
(文字にすると1行ですが、本当に大変なことなんです……)
けれど、正しさを通すことと相手と楽しくいられることと、どちらが自分にとって本当の幸せなのだろう?そう心に聞いてみることで、見えてくるものがあるかもしれません。

正しさが愛を隠して分離を生む

近い関係で正しさを持ち込むとき、必ず根っこには相手の幸せを願う気持ちや、わかって欲しいというニーズがあります。

愛したい・愛されたい、大切にしたい・大切にされたい。
そんな思いがあるのですが、それを正しさを使って相手にわからせようとしてしまうことがあるんですね。
例えば、

親が子に幸せになってほしい気持ちから自分の考える幸せの形を押し付け、子の希望を否定する。
恋愛で相手の愛情を求める気持ちから、愛しているのにこんなこともできないのはおかしいと指摘する。

この行動の根っこは、相手を思う気持ちや愛されたい気持ちなのです。

けれど正しさを使う伝え方が強くなるほど、目的は本当の思いからどんどんズレて、相手を理屈で説き伏せる競争の関係にもなりがちです。
ときには、いつの間にか意地になって正しさを通すことの方に必死になっていた…そんな本末転倒なことも起こったりも。

このような場合には「正しさを使ってわかって欲しい感情は何か?」という視点で見ると、問題を抜けられることも多いですよ。

そして親子関係・パートナーシップのような心の距離の近い相手との関係ほど、常識や全体論の正しさは意味を持たなくなります。
正しさよりも大切なのは双方の「幸せ」であって、極端にいえば「正しくはなくても双方が幸せな方がいい」といえることもあるのかもしれません。

どんなに正しくても、人はその正しさから愛を感じることはできません
正しさを通そうとするほどに、大切な人と分離や競争を生んでしまうのは切ないな…って感じます。

最後に:正しさをどう扱うか

正しさというのは、社会や世間の「価値観」であることも多くあります。
そして、その価値観を自分の正しさだと感じてしまう…そんなことも起こるのです。

「正しい」ということは決して悪いことではありません。正しさに助けれられることもあります。
けれどときに、幸せに向かうことを邪魔する制限にもなります。

どんなに正しいことをしても、それが自分の本当にしたいことでなければ、幸せは感じられません

心で幸せを感じたい、でもなかなか思うようにいかない…
そのような状態が続いて苦しいと感じたときには、
正しさの制限を自分にかけていないかな?正しさで相手を変えようとしていないかな?
という視点で状況を見直してみることが、抜け道になるかもしれません。

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