「投影の法則」 あなたが変われば世界は変わる?

心理学用語の解説
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「投影」とは

少しでも心理学に興味を持つ方なら「投影の法則」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
それくらいメジャーな心理学用語がこの「投影」です。

そして、心理学でたびたび使われる「あなたが変われば世界は変わる」という言葉、この投影の法則を端的に表現した言葉なのです。

投影の法則とは、「わたしたちは、自分の心の中の状態や思考パターンを、周りの人やモノに映し出して世界を見ている」という考え方のことです。
映し出すものは、自分の感情、過去の体験、出会った人物像など、さまざまです。
それは、その人が今までに経験して得てきた知識や感情でもあります。

そのため、同じものを見た時でも人によって感じ方が違う、ということが起こるんですね。

 
例えば、ある2人連れが空を見上げたとします。

1人は「なんだかさびしそうな空だなあ」と感じたとします。
けれどもう1人は「キレイな気持ちいい空だなあ」と思ったとします。
同じ空を見ているのに、人によって感じ方が違うんですね。

心の中の「寂しさ」のフィルターを通して空を見ると寂しいって感じ、「心地よさ」のフィルターを通して見ると、「気持ち良い空だなあ」と感じるんです。
これが心をモノに映し出す「投影」という現象です。

ですから、そのとき使うフィルターは自分のその時の感情と見ることもできます。
投影とは、「私たちの心の中にあるフィルター」ともいえるのです。

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また一方で。例えばある人の職場の上司がなぜか不機嫌だったとします。
部下である彼はそれを見て「自分が何かやってしまったんじゃないか…」と不安に感じます。
けれど、実は上司は朝から体調が悪いだけだったのです。

この状況で、どうして部下である彼は「上司の不機嫌は自分のせいでは?」と思ってしまったんでしょうか。

投影は、過去の経験や自己イメージなどをもとにして作られるのです。
ですからこの場合は、彼にはこの上司によく叱られているという経験があるとか、「自分はミスをしやすい」という自己イメージがあるのだと考えられます。
そして、そのような自分の心のフィルターを、機嫌の悪い上司に投影したと見ることができるのです。
 

投影の例はこの他にも数多くあり、しかも、思考、潜在意識、無意識のそれぞれのレベルで起きてくる現象です。
そして、その概念を突き詰めると「あなたの目に見えるもののすべてはあなたの投影である」ともいえるのです。
つまり、自分の心の中が平和で幸せならば、世界は平和で幸せなものに感じられ、心の中が辛さでいっぱいならば、世界は辛いことばかりに見えるということです。(あくまで一つの考え方です)
これが心理学でいわれる「あなたが変われば世界が変わる」という言葉の意味なのです。

この投影の法則、考えようによってはちょっと耳のイタイ話でもあるんですね。
自分の周りの人やモノ、すべてに対する感情は自分自身の内面を投影してるとしたら。
湧いてくるイヤな感情もすべて、周りのせいではなく自分の何かを投影して作り出しているという話になるわけです。

ですから、時にはそう思いたくない部分もあるかもしれません。
ですが、実際に何か問題がおきた時って、誰かのせいにしても問題はなかなか解決しません。
自分自身の問題として捉え「自分にできることはなんだろう?」って向き合っていくことが、解決への近道なんですね。

先ほどの上司と部下との例でも「自分が何かやってしまったのでは?」と不安に感じるだけではそれ以上は何もできません。
でもその不安が自分の投影だと気付くことができると、上司の不機嫌には他の理由があるんじゃないか?って考えることもできるんです。
そこから、ちょっと声をかけてみる→体調不良がわかりフォローができる、などの行動につながったりもするんですね。

「投影の法則」を日常に生かす

このように、自分の感じたことが自分の気持ちや思考パターンと思えば、いろいろ活用することができたりします。
実は心理学は日常でも使える、とっても便利なものなのです!

自分を心の状態を知る

これは私もよく使う方法ですが、人や物がどんな風に見えるか?をチェックして、自分の心の状態を知るバロメーターにするのです。
日常生活の中で仕事や家事、子育てなどに没頭していると感情を抑圧しがちです。抑圧された感情の多くは問題となってやってきます。
ですから、日頃から色々なものがどう見えるか、ということをチェックして早めに対策を立てると良いかと思います。
例えば、人に腹を立てることが増えている、毒づきたいニュースばかりが目につく、色んなことがくだらなく感じる、そんな時には自分なりのリラックス方法や誰かに話を聞いてもらう、など早めの対処がおすすめです。

自分が我慢、抑圧している感情を知る

投影を使うとふだんは意識しないけれど実は我慢してることを知ることもできます。
と同時に自分の心の痛みを知ることもできます
人に対して「なんか嫌だなあ」「苦手だなあ」と感じるとき、具体的にどんなところに嫌悪感があるのかをチェックしてみると。
例えば「誰にでも甘えるところ」「感情的なところ」などなど出てきたとします。
そこから「なんでそこが嫌なんだろう?」って考えてみるんです。
心理学を生かすポイントは「そんなの当たり前!」とは思わずに「なんでこう感じるんだろう?」って興味を持つことなんですね。
そうすると、例えば「本当は自分も甘えたいんだ」とか「もっと感情を表現したいのに」という抑えてた欲求の気づきに繋がることがあるのです。

自分の魅力を知る

人に対して「こんな部分は素敵だなあ」「こんな人になりたいなあ」って思う要素、実はそれはあなたの中に眠っている魅力の要素と言えるんですね。
「そんなことない!」と思う人もいるかもしれませんが、人は自分の心の中にないものを他人に投影することはできません。
例えば「優しいとこりろ」「素直なところ」「情熱的なところ」。
それはぜんぶ、自分の中にあるけれど上手く表現できていない部分だと考えてみることは、自分の望む自分に近づくアプローチになるのです。

自己肯定感を高める

近年よく聞かれる言葉の一つ、自己肯定感にも投影の法則は関係しているんです。
もし自分が自分のことを嫌っていたり低く見ていたりすると。
投影の法則で「人も、自分と同じように感じるに違いない」と思ってしまいます。
そうすると、否定されるというフィルターで相手を見るので、好意や優しさも、なかなか素直には受け取れません。
「コイツ、お世辞がうまいなあ」とか「この優しさには裏があるはずだ!」というように。
このような状態で自己肯定感を上げようと頑張っても難しいのですね。
ですから、自分が自分のことを「けっこう悪くないかも」と思えると、人もそう思ってくれるかもと感じやすくなり、自己肯定感が作られてゆくわけです。

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いかがでしたでしょうか。
投影の法則、ぜひ日々のモヤモヤを晴らすために使ってみてくださいね^^
(くれぐれも、使うときは自分限定!でお願いいたしますね)