「関係性を紡ぐ」ということ〜大切にするから大切なものになってゆく

泉の日記帳

※こちらは、カウンセリングサービスのアメーバーブログ『恋と仕事の心理学』に執筆した記事の転載になります。

この世の中に「運命の相手」というものが本当に存在するのかどうか、私にはわかりません。
けれど、そういった運命的な出会いを果たすことだけが幸せともいえないと、年を重ねるほどに感じています。

目の前のパートナーと「幸せでいたい」という願いを持ち続けて、関係性を紡ぐことの繰り返しが「かけがえのない関係」を作るのではないか、そんなふうにも思うのです。

**
今月、夫と私は13回目の結婚記念日を迎えました。

思えば色々あったな〜って感じます。もう本当に色々なことが^^;
けれどその都度、何としたいともがいて、もがいて、失敗してまたやり直して…。
そんな期間も経て迎えた今年の結婚記念日は、楽しさと感謝に満ちたとても幸せな時間でした。

投げ出したいときもあったけど、「やっぱり一緒にいたい」と願ってエネルギーをかけた価値はあったな。
14年目を迎えた今、そんなふうに感じています。

**

結婚当初から私たちの間には、大きな「相容れない価値観」が横たわっていました。
それが「仕事への思い」と「心の世界の捉え方」です。

私は昔から「人生の中で幸せな家庭と大好きな仕事、この2つは絶対に譲れない」と考える人間でした。
そして大好きな仕事として、心理カウンセラーを選んだのです。

対して夫は「好きなことは仕事にしない方がいい、仕事に楽しさなんて求めない」という価値観。
そして心の世界にも良いイメージは持っていませんでした。

この価値観の違いがどうしても埋められず、私はずっと「わかってもらえない」「私の大切なものを受け入れてもらえない」
そんな悲しさや心の距離を感じていました。

そして、その寂しさは「私が否定されている」という犠牲の感覚になり、定期的に何かのきっかけで爆発しては喧嘩の原因になっていました。

私のやりたいことは変わらない、夫の理解のなさも変わらない。
だからこの部分については、分かり合えないままやり過ごすしかないーー。
ずいぶん長い間、そう思い込んでいました。

いちばん味方でいてほしい人に、いちばん大切なものを否定される。
その苦しみは私にとって重い石のようなもので、喧嘩が積み重なるたびに、失望のような諦めのような感覚も深まります。

結婚7年目を迎える頃には、あまりに喧嘩が増えて関係性は最悪に。
もう、私がやりたい仕事を続けるには別れた方がお互いのためなのでは…
そんなことお互いに本気で考えるようになりました。

けれどその時期、私がカウンセリングを受けたことで状況が少し変わったのです。

「夫が私のやりたいことを理解してくれない」という完全被害者の意識だった私が、「夫のものの見方・感じ方」「夫にも事情があり傷ついている」という視点に気付かされました。
(いえ、カウンセリングのなかで教えてもらいました…)

私はとても傷ついて、我慢している。
だけど同時に、夫もたくさん傷ついて我慢している。
それでも今、別れに至っていないのは2人に「一緒にいたいという気持ち」があるから。

埋まらない価値観の違いに傷ついて、夫を敵扱いしていた私がやっと、実はたくさん愛されていていること、許されていることを理解できたのです。

そこから私の夫への態度は変わり、それに応じるように夫の態度も軟化して、最悪だった関係性は緩んでいきました。

**
とはいえ、最悪の状況を脱したからもう安泰!ということにはなりませんでした。

お互いに愛はあるとわかっても、やっぱり夫は心の世界が嫌いで、私はカウンセリングという仕事が大好きで。
その溝が完全に埋まった感覚は得られませんでした。

以前ほど強い感情ではないけれど、それでも私の中には「仕事に対する愛を理解されない悲しみ」や「夫の望まないことにのめり込む罪悪感」があったのです。

私は少しずつ「夫はどうして、私が幸せでいることを幸せだと感じてくれないんだ」という悲しさからの怒りを抱えるようになりました。
けれど自分がカウンセラーだという自負もあり、この感情を夫にぶつけてはいけないと、自分で消化しようとしていたのです。

以前の私は、悲しみを怒りとして夫にぶつけて喧嘩になっていました。
それをしなかったのは成長でもあるのですが、我慢はやっぱり相手への不満に変わります。

パートナーに本当に言いたいことが言えないとき、心はそれを埋め合わせるように、相手を責める理由を探すようになるのです。
もれなく私もその状態になり、夫に些細なイライラが募るようになりました。

実は結婚してからずっと、私が夫にできなかったことがあります。
それは自分自身の劣等感やつらさなどの弱い感情を夫に素直に伝える、ということです。

恥ずかしさや、弱さを出してなお責められたら、拒絶されたらどうしよう、そんな怖さがあったんですね。
だから「つらさ」を夫に言葉として伝えるときには、いつもどこか生の本音をずらしたような言葉や夫への不満になっていたように思います。

けれど最近、うまくいかないことが重なって私に余裕がなくなったとき、本当に「つらい・しんどい。一緒にいることを楽しめない自分が嫌だ、自分がみじめに感じる」
そのような感情を、そのまま素直に伝えられたことがあったのです。

これは私にとって、大きなブレイクスルーでした。
「そろそろ素直になっていいよ」という許可が、自分に出せたのかもしれません。

そしてそのときの夫の反応も、不思議と今までとは違うものでした。
夫の口から「本当に頑張っていると感じる。そこまで夢中になれることがあるのは羨ましい」という言葉を聞いたのです。

「仕事なんて、そもそもしんどくて当たり前」
「仕事に楽しさを求める気持ちは俺には理解できない」
常々、そう言ってる夫からです。

私の心が長い間で変化したように、夫の心にも変化は起きていたようです。

この言葉を聞いたとき、私がどれだけカウンセラーという仕事を愛しているか、「私という人間を、やっと夫にすべて理解してもらえた」そんなふうに感じたんですね。

素直に伝えないから伝わらなかったのだけど、今までの少しずつの歩み寄りの蓄積があったから伝わったことでもあって。
「こんなにかかった」といえば確かにそうですが、きっと必要な時間だったのだと思います。

14年目の今、結婚してからいちばん仲の良い状態を過ごせていて「投げ出さずに自分に、夫に向き合い続けてよかったな」そう感じます。

そしてここまで諦めずに来れたのは、13年のなかには楽しい時間も山ほどあったから、ということも付け加えておきます。

**

パートナーとの関係がうまくいかないとき。
この関係は自分を消耗するだけでは? 我慢を積み重ねるだけでは?
そんなふうに感じることもあるかと思います。

そんなときは、何度でも心に丁寧に聞いてあげてほしいんです。
「この関係性は、私にとって本当の幸せ?本当に欲しいもの?」と。

私自身も、数えきれないほどこの質問を繰り返してきました。
そしてそのたびに、同じ答えになって今があります。

苦労が必要だとか結婚は忍耐とか、そう言いたいわけではありません。
ずっと楽しく過ごせたら、それに越したことはありません。
つらい関係を手放すことで自分を守れることもあります。

ただ、1人の人と長く一緒にいるなかでは、きっといろいろなことが起こります。
そんなときに「この関係は、私が真摯に向き合う価値がある」そう信じられることが、問題を超える力につながりますから。

パートナーシップは、丁寧に紡ぐことの積み重ねで、深くかけがえのない関係になる。
「大切にするから大切なものになってゆく」そのようなものだと感じます。

パートナーがいる人生にも、いない人生にも幸せはあります。
けれどパートナーのいる人生を選ぶなら、2人で幸せにいるためにエネルギーをかける価値はある。
私自身は心から、そう感じています。

このお話が、あなたの幸せなパートナーシップのお役に立てたら、とても嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。

◉SNSのご案内
✳︎泉のXはこちら 心の話やプライベートのことを色々呟いています。
✳︎泉のインスタはこちら 30代40代女性の「繊細な生きづらさ」を抜けるヒントを発信しています。
ぜひ覗いてみてくださいね♪

◉カウンセリングを利用する
✴︎自分軸の幸せに向かう提案型カウンセリング✴︎
泉智子のカウンセリングご予約はこちらから↓
06-6190-5131
(カウンセリングサービス:予約センター)
カウンセリングやご予約についての詳細はこちら