過去に傷つけられたことが忘れられない

夫婦のための心理学

※こちらは、カウンセリングサービスのアメーバーブログ『恋と仕事の心理学』に執筆した記事の転載になります。

パートナーと楽しく過ごしたいとは思っている。
だけどどうしても、過去に傷つけられたことが忘れられない、恨みのような感情を端々で思い出してしまう—。

そんなことってないでしょうか。

関係性が長くなって一緒に過ごす時間が増えると、いろんな感情のやり取りが蓄積されます。
楽しい時間も積み重なるのですが、逆にわだかまりや恨みつらみなども増えるかもしれません。

あのとき傷つけられた、あんなことを言われた、裏切られた……
そんなネガティブ感情の記憶との向き合い方について書いてみます。

ネガティブな感情の記憶はなぜ残るのか

本来、パートナーと楽しく過ごしたいと思うなら、お互いに嫌なことは忘れて良い思い出だけを残す方が心は楽ちんです。

ですが実際には、嫌な感情の記憶は手強く残ってしまうことも多いのではないでしょうか。
なぜ、傷つけられた・裏切られた、などのネガティブな感情は心に残ってしまうのでしょうか?

意識している感情が怒りでも恨みでも、その根っこには心が傷ついたという事実があります。

傷を認識していても、自分では傷じゃなく怒りだと感じていたとしても、怒りや恨みの下には傷があります。
誰でも、心が傷つくのは嫌なことです。

だから心は、もう傷つかないように…と防護線を張るのですね。

ネガティブな感情を流すとができないとき、心の中には「これを忘れたらまた傷ついてしまう」という強い恐れがあります。

それはもしかしたら、信頼しているパートナーから思いもよらない言葉や行動が飛び出た、あのときの痛みかもしれません。

もう一度まっさらな気持ちで傷つくくらいなら、痛みの耐性を持っていた方がいい…無意識にそのようなことを感じる場合もあります。

もしかしたら、パートナーから責められたときや自分が相手を傷つけてしまったときの、痛み止めを求めているのかもしれません。

「私だって傷ついた」という事実があれば、自分だけが悪い・未熟だ、という嫌な感情は和らぎます。
…別の嫌な感情が出て、つらいことには変わりないのですが…

また、パートナーとの間に競争の心理があって「傷つけられた自分」というカードで相手の優しさを引き出したい気持ちがあるかもしれません。
こう書くとまるで嫌な人みたいですけど、これも愛を得られずに傷つきたくないという恐れの形です。

心の痛みがとても強かったとしたら、表面の意識では忘れたいと思いながらも潜在意識は忘れるな!と言っている、そんな矛盾に苦しむこともあります。

また、心の中にある恐れが強い分だけ、ネガティブな感情を「手放したい!」と望むことへの抵抗が強まったり。
ときには「この恨みを忘れたら負けだ!」というほど頑なな思いになっていることもあるかもしれません。

人にはこのように、自分の心を守ろうとするたくさんの防衛の心理(エゴともよばれるものです)があるため、ネガティブな感情の記憶の手放しは簡単ではないんですね。

過去の心の傷への向き合い方

傷を傷として認めて手当てをする

誰でも「自分が傷ついた」と思うのは心地の良いことではありません。
傷ついてなんかない、と思いたくなることもあります。

ですが愛するパートナーと愛し合えない、愛を感じられないということは、やはり悲しくて寂しいことです。
強い怒りは怒りのまま消えることはなくて、その下にある気持ちに気づいてあげることで和らぎます。

怒りの下の傷を見ないことには、前に進むことは難しいんです。

悲しみが強くてどうにもならないと感じたら、それに見合った手当が心にも必要です。
気持ちに寄り添ったり、そのなかで最善を尽くした自分をきちんと承認することが必要かもしれません。

感情って、否定せずにただ見てあげることで落ち着きます

もしも今、パートナーがあなたの心に寄り添うことが難しいとしたら、あなた自身はどこまでも自分の気持ちを聞いて受け入れてあげてほしいんですね。

感情の蓄積としがらみの連鎖

誰かと長く付き合うほど、その心の距離が近いほど、感情のやり取りは蓄積して心のしがらみも増えていきやすいです。

どちらかが何かをして、もう一方の心が傷つく
→その傷から相手を苦しめるような言動になってしまう
→相手もその言動に傷ついて、お互いに被害者のように感じる……

そんなイタチごっこのようなことも、少なくないかもしれません。

感情が拗れてもつれて、もはやどちらが最初に仕掛けたとか、どちらがどれだけ悪いとか、もうわけがわからなくなることも。

そのようなときほど、お互いに自分が正しいという理屈で武装して、感情を拗らせてしまったりもします。
(私はこのパータンを、お腹いっぱい繰り返しています…)

ですが人の感情ってとても複雑で、心が悲しんだり傷ついたりする原因はひとつとは限らないし、すべてを認識できていないこともたくさんあります。
そもそもこんなに複雑な感情のもつれを理屈で整理すること自体、本当は不毛なのかもしれません。

社会的には理屈で説明してジャッジする場面はたくさんありますが、個人が「2人の関係性に欲しいもの」を突き詰めたとき、最後に残るのは「正しさと幸せ、どちらを選びたいか」です。

心の痛みを手放したいですか?

夫婦関係や恋人関係は文字通り「関係性」です。
お互いに影響しあっていて「どちらかが100ゼロで悪い」ということは存在しません。

どちらが悪いということではなく、原因が影響して結果になったということ、どちらも悪くないんです。

もちろん傷ついたということは事実なので、それ自体を否定して欲しくはありません。
傷ついたことは事実、だけど相手にそうする理由があったことも事実。
…ここが腑に落ちるまでは、かなりしんどいです。

けれどこのことを受け入れられると、あなたが「選ぶ」ことができるようになります。

恐れを超えて心の傷を手放したいのか、それとも傷を持ち続けたいのか—
…言葉で言うと簡単ですが、実際にやろうとするとめちゃくちゃ難しいです。

一度手放そうと決めても、また同じ痛みや恨みを感じることもあります。

パートナーと一緒の時間が長いほど、日々新たな感情が生まれて新しいしがらみや傷もできやすいし、うまくいかないパターンが繰り返されると、その都度失望して、さらに失望が深まることもあるかもしれません。

それでも、何度でも幸せや楽しさを感じるために、傷を手放そうと決め直すこと。
もう一度、まっさらに相手を見て、自分の選んだ人の価値を受け取り直そうとすること。

日々一緒にいるパートナーへの心の傷と向き合うのは、そんなコミットの繰り返しなのかもしれません。

何度でも大丈夫。たとえ傷ついたとしても、また選び直せる。もっと大きな幸せを感じられる。

これは相手への信頼でもあるし、自分への信頼でも、関係性への信頼でもあります。

許すことのできる私を信じ、相手から許されていることもしっかりと受け取る。
(これも、認めるのに抵抗が出やすいです^^;)

私自身も、そうしてパートナーへのネガティブな感情に向き合っての繰り返しです。
だいぶ、決め直すことがしやすくなったと感じます。

パートナーともっと楽しく過ごしたい、そのために痛みや恨みを手放したい、そう願うことがスタートです。

決められたら、その方に向かってきます。
いつでもお手伝いさせてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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